原因は私にかかったもう一つの呪い。
”あの事”を他言する事は赦されない。
アルバス・ダンブルドアにかけられた絶対的な呪い。
ごめんリーマス、セブルス、レギュラス。
言えなくてごめん。
「そういえばさっき校長が此処に来て手紙を先輩に渡してくれって。はい、これ」
「あの人が?」
手紙、と言ってもよそよそしく封筒に包まれる訳でもなくただ簡素に四つ折にされた紙切れ一枚。
私はそれを受け取って開いてみた。
「…『本日より・
に個室を与える』?」
「個室!?凄いじゃないですか!」
「個室なんてそうそうないんじゃないかい?」
「校長も気を利かせたんだろうな」
みんなの声が自然と弾む。
最初手紙に目を通した時は意味が理解出来なかったが二度通して漸く理解した。
これでいつ起きるか分からない発作に冷や冷やせずに済むんだ!
手紙にはこうあった。
本日より・S・に個室を与える。
今のまま4人部屋では何かと不便じゃろう。
突然の一人部屋を不審に思う輩も多かろうて、表上の名目は『新魔法の開発で夜遅くまで勉学に励むから』という事にしておいた。
荷物は向こうに送ってある。
それでは、君が残りの学生生活を存分に楽しめるよう祈っておるよ。
A・ダンブルドア
女子寮の一番東側に私に与えられた個室はあった。
部屋の中には屋敷下僕妖精がやったのか荷物のトランクが2つ、机が一つベットが一つ、上等なソファーが一つ用意されていた。
部屋にはキッチンや風呂場まできちんと設備されており中々快適な生活がおくれそうだ。
一通り見回した後、トランクの中身を片付ける事にした。
トランクもすっかり空っぽになり手持ち無沙汰に新品らしきベットに寝転ぶ。
一人部屋になって楽だと思ったが今一しっくり来ない。
自分の呼吸の音しかしないこの部屋はまるであの牢獄のようだ。
ただ、あの牢獄と違うのはドアを開ければ直ぐそこに話の通じる人が居るという事。
独り、というのはこんなに寂しい物だったのか。
最近は誰かしら近くに居たからこんな感覚忘れていた。
ふと、机の方を向く。
そろそろけじめをつけなくてはいけない。
私はさっき机の中にしまったばかりの便箋を取り出した。
フラット家の家門が入った綺麗なレターセット。
釈放された時にダンブルドアから貰った品だ。
手紙を出す家族もいなかったから使い道がなくってずっと前の部屋の机の奥にしまってあった。
先にちょこんとインクをつけてすらすらとペンを走らせる。
書く内容は決まってる。
小難しい事を考える必要はない。
『Dear
シリウス
金曜日の夜、あの隠し部屋に来て。
話があるの。
from サラ』
遂に馬鹿犬をお呼び出し!?ってな所で今回は終了。
焦らすの大好きです。
でも言いたくてしょうがないタイプです。てへっ←
2008.08.26.TUE 朔