「またコレを使うのかい?」
「うん」
WWW 第7話
はぁ…;;
「コレが一番手っ取り早いんだぞ。なめんなよ!」
別になめてないから。
コレとは来る時にも使った奴の事だ。
「――――」
相変わらず二人が何を唱えているのかは分からない。
二人の母国語だろうか。
はっきり言って僕はコレが嫌いだ。
この浮遊感がなんとも言えない気持ち悪さをもたらす。
うぇっ、吐きそう;;
「リドルー着いたよー」
あまりの気持ち悪さに俯いていた顔を上げて周りを見渡せばそこは先程までの風景とは全く違う見馴れた場所だった。
「此処で吐くなよー」
「吐く訳ないだ…うっ……;」
「吐いたら自分で後始末してね!」
こいつらには気遣いという言葉は存在しないのか?(怒)
「あ、もう直ぐ始まるかも」
「ってか始まってんじゃね?」
「ほら、行くよ。リドル」
そう言ってがこちらを振り向いて手を差し延べてきた。
立たせてくれると言う事だろうか。
良いところもあるじゃないか…。
「ありが…」
ガクッ
「!?」
あまりに突然な出来事に僕の頭が一瞬着いていけなくなった。
「ぎゃはは!引っ掛かった〜!!」
「止めたれ;流石にそれは可哀相だろ;」
の笑い声にふと我に帰る。
が僕を立ち上がらせる瞬間に委ねた手を突然放して僕が尻餅をついてしまったのだ。
しかもあからさまにわざとらしく。
「〜(怒)」
「きゃーリドルが怒ったー!逃げろー!!」
「よしっじゃあ城まで競争な!」
「はぁ!?」
「何事にも全力投球じゃぁぁぁ!!」
「リドルなんかに負けないぜ!」
「強制参加!?」
なんだかんだで三人で全力疾走して城(ってか皆の所)まで行ったら息切れした。
まだ皆は来てなくてバカみたいだったけどちょっと青春っぽくて楽しかった。
って言うのは僕の心の中だけの秘密だ。
言ったらからかわれるのがオチだからね。
組分けとかがあるから二人は教師陣のいる方へ向かった。
二人が行ってしまった後、直ぐに皆が広間に入って来た。
「トム!久しぶり!」
同じスリザリンの同級生のタクスが話しかけてきた。
「あぁ、タクス久しぶり」
トム…あいつらといた間は忘れていたがつくづく嫌な名前だな。
「聞いたか?転校生の話し」
「あぁ。珍しいケースだね。二人も来るんだろ?」
達の事か。
「らしいな。でも二人とも物凄い不細工らしいぞ」
「ぶふっ!」
タクスの不細工発言に思わず飲んでいたカボチャジュースを吹き出してしまった。
「大丈夫か!?」
あいつらが不細工?
ありえない。
この僕でさえ認める美男美女だぞ?
まぁ僕の方がよりカッコイイけどね。
「大丈夫だ。ちょっとむせただけだから」
ホントか?と疑うような眼差しでタクスは見て来たが笑顔でなんとかごまかした。
「それよりそいつらは何処の寮に入るんだろうな」
「……」
寮?
そういえばそんな事考えもしなかった。
グリフィンドールに入って僕に話し掛けて来たらどうしよう。
無視をする訳にもいかない。
そんな事したら後で何をされる事か…考えただけでも悍ましい。
いやでもあいつらはかなり狡猾だからな…。
「トム?」
「…あ、あぁすまない。ぼーっとしていた」
「今日おかしいぞ?ホントに大丈夫か?」
「あぁ、大丈夫だ」
「それなら良いけど…。あ、新入生の組分け終わった」
「え〜もう知っておる者もおるじゃろうがこのホグワーツに異例の転校生が来た」
そこでダンブルドアは言葉を一旦切り、二人に出てくるよう手招きした。
「・と・じゃ」
二人が出て来た瞬間広間が静まり帰った。
達が噂にそぐわぬ容姿をしていたからだ。
「二人はとある事情により日本からやって来た。学年は五年生じゃ」
「・です。趣味は人をおちょくる事です。宜しくお願いします」
「・です。とは従兄弟関係で間違っても兄弟じゃないんでそこんとこよろしくお願いします」
大半の女子はキャーキャー言い合って、大半の男子は軽く顔を赤らめている。
恐るべしの血筋;;
そしてなんの騒ぎも無く無事二人はスリザリンに組分けされた。
予想通りというかなんというか…取り敢えず良かった……。
なんか軽くリドルナルシスト入ってる気がする・・・うん。
2007.03.25.SUN