WWW第一話


 「んー…こんなもんかな?」

 

 

WWW  第一話

 

 

磨き終えたばかりの四つの指輪を右手にはめ、太陽の光りにあてながら少女が呟いた。

少女の名は

今日から十七歳の高校二年生だ。

 

ー朝だぞ。起きろー」

「もう起きてますー。あんたそんなやる気のない起こしかたで起こすきあんの!?」

 

ノックもなしに年頃の女の子の部屋に入って来たこの少年の名は

と同い年である。

苗字が一緒だが兄弟ではなく従兄弟だ。

 

「ん?お前が起きてるなんて珍しい。明日はきっと嵐だな」

「ちょっと失礼過ぎ!いくら私が低血圧で目茶苦茶寝起きが悪くて毎日朝は必ず二度寝するからってそりゃないでしょうが!!」

 

どうやらノックもせずに部屋に入って来たことはどうでもいいらしい。

 

「はいはいどうでも良いからさっさと飯食え」

 

 

 

 

 

 

 


リビングに来てみたがいつも騒がしい父親がいない。

不思議に思ったに聞いてみた。

 

「馬鹿親父は?」

「ん?團さんなら仕事だぜ。今回は京都だとさ」

 

優雅にコーヒーを啜りながらのが答えにもふぅん、とどうでもよさ気にコーヒーを飲み始めた。

仕事がらよく遠くに行くので今更気にしないのだ。

今回は京都か…お土産は八ッ橋かなvV

なんて呑気なことを考えていると一つの小さな小包が目に入った。

 

「コレ何?」

「さぁ?」

 

どうやらも知らないらしい。

 

「お前への誕生日プレゼントじゃね?何か書いてねぇの?」

 

はあぁそっか!と小包を手に取ったが少しするとに何も持っていない方の手を差し出した。

 

「は?何?」

 

は訳が分からないと言った感じだがはそれを無視してズイッと手をもっと伸ばしてくる。

一体何なんだ、とが首を傾げているとが口を開いた。

 

「出せ。プレゼント」

 

あぁ誕生日プレゼントか、と納得してがポケットからが手にしてる小包より一回り小さな箱を取り出した。

 

「欲しいか?」

 

はブンブンと首を縦に振る。

 

「どうしよっかなぁ♪」

 

は無理矢理箱を奪おうと試みたがあっさり高い所に箱を上げられてしまった。

あ!せこい!!背が高いのを利用して届かなくするなんて!!卑怯者以外の何者でもないよ!!

 

に誕生日プレゼントあげたじゃん!私にもよこせ〜!!」

「しょうがないな」

 

が持っていた箱をポイッ、と空中に投げた。

 

「げ;」

 

は直ぐに反応して箱をキャッチした。

ふぅ、ナイスキャッチ自分★

 

「危ないじゃん!落としたらどうすんの!!投げないでよ!!」

 

そうそう物は大切にね★(誰だよ;)

 

「ぅおっ!?危なっ!!軽く投げただけだろが!!」

 

が物を大切にしないに回し蹴りをくらわそうとしたがぎりぎりのところで避けられた。

 

「問答無用ぉ!!」

「あ、時間」

 

は時計を見て青ざめた。

少々戯れ(?)過ぎたらしい。

学校まで歩いて30分かかるのにもうあと5分しかない。

 

「普通に走って行っても間に合わねぇな」

「「……」」

 

 

 

 


「ねぇ…なんで私達仕事でもないのにこんな頑張ってんの?」

「お前が一人で騒いでたからだろ」

 

今二人は屋根の上を跳びながら学校に向かっていた。

 

予鈴はもうなってしまったがまだ本鈴がある。

本鈴が鳴り終わるまでに教室に入ればセーフだ。

 

「やっべ、後20秒しかねぇ」

 

が時計を見ながら言った。

 

「上履き取りに行くのは後でで良いよね?」

 

二人は顔を見合わせると教室に1番近い木に跳び移った。

その木から勢いよくジャンプし、開いてる窓から教室に入ることに見事成功した。

キーンコーンカーンコーン

ぎりぎりセーフだ。

 

「ふぅ危なかったぁ」

 

私ってば注目の的じゃないv

周りの生徒はまたか、と言う目で二人を見ていた。

二人が本鈴ぎりぎりに窓から入って来るというのはよくあることなのだろう。


 

 



「やっと終わった〜!、さっさと帰ろー」

「おう」

 

 

「ん〜なんか今日は朝から大変だったねぇ」

のせいでな」

「そういえばまだプレゼント開けてないや」

 

あれ?スルー!?

 

「開けていい?」

「期待すんなよ。別にたいした物じゃねぇし…ってもう開けてるし;」

 

に開けていい?と聞いたにもかかわらず直ぐに開封に取り掛かっていた。

 

「うわー綺麗ー…って意外にセンス良いよね」

「意外に、は余計だ」

 

なんだかんだ言って褒められたのは嬉しいらしい。

顔を赤くしている。

がプレゼントしたのはブレスレットだった。

腕に着けて満足そうに見つめると父親である團に貰った小包を取り出した。

丁寧に包みを剥がし、中身を手に取ってみた。

 

「鏡…とイヤリング?」

 

イヤリングには手紙が付いていた。

それを軽く読んでイヤリングの片方をに渡した。

 

「?」

「片方はに付けさせろってさ」

「は?」

 

訳が分からないが多分團のことだから護身の術が施されてるとかそんなんだろう。

二人は一先ず耳に付けることにした。

 

「何だ?それ」

 

の持ってる鏡を顎で指しながらが聞いた。

 

「なんか鏡みたいなんだけど写んないだよね…」

「手紙とか入ってなかったのか?」

「入ってたけどイヤリングを渡せとしか書いてない」

 

ったく使えない父親だな(怒)

の持つ覗き込んでみた。

 

「本当だ。マジで写ってね…!?」

 

が少し鏡に触れた瞬間二人は頭を鈍器で殴られたような感覚に襲われ、そのまま意識を失った。

 

 

 


06.11.29.WED Written by Saku .