あぁ。
今にも雨が降りそうだ。
昨日、僕はあの後を寮まで送っていった。
の状態的にも詳しくは訊けなかったけど全く持って信じられない。
の口から何が出た?
血?
そんなの信じられない。
信じられるわけが無い。
「あ・・・・・・・・・」
が教科書を抱えて階段を上っている。
「リーマス・・・私用あるから・・・・」
「、逃げないで。空いてる教室で話そう」
僕は気まずそうに目を逸らし、此処から立ち去ろうとするを引き止めようと彼女の腕を掴んだ。
え?
僕は驚いた。の腕は"細い"の一言では片付けられない細さだった。
『骨と皮』と言っても過言ではないんじゃないだろうか。
少なくともこの年齢の女の子ではありえない細さだ。
こんなになるまで君は・・・。
なんで今まで気付かなかったんだっ!
シリウスとの事で落ち込んでるだけかと思ってた。
僕は馬鹿だ。
「・・・・・・わかったわ・・・」
僕達は近くの空き教室に入って、お互い向かい合うように座った。
なんだかこんなに近くにいるのにが遠く感じる。
「リーマス・・・昨日のアレは見なかった事に・・・」
の開口一番はそれだった。
「、ちゃんと僕の目見て話して」
「っ・・・」
「なんで目逸らすの?」
こっち見てよ。
「だって・・・目を見たら、誤魔化せないじゃない・・・・・・」
「誤魔化さなくていいよ。知りたいんだ」
誤魔化す必要はないよ。
"友達"なんだろう?
「でも・・・」
「僕は君に僕が人狼だって事話したよね?」
そう、僕は3年の時、に僕の抱えていた秘密を話した。
あの時の僕も言い出すのにはものすごく勇気が必要だったからが言い出せないのも分かる。
「僕はを信用してるんだよ。は?は違うの?」
「ち、違わない!!私もリーマスの事信じてるよ!」
よかった。
『信じてない』なんて言われたらもう立ち直れなくなっちゃうだろうな。
「じゃあ、話してくれるよね?」
「・・・うん」
が創る沈黙に妙な緊張を覚え、無意識に唾が咽を通るのを感じた。
「私ね、自分で言うのもなんだけど強い魔力を持ってるの」
強い魔力?
は結構それなりに頭がいい。
それでも主席と次席の座はジェームズとシリウスだし格別に成績がいいという訳ではない。
だから僕はの言ってる事がいまいちピンと来なかった。
「ヴォルデモートに狙われる程のね」
「ヴォルデモート!?」
「そう。信じられないでしょ?まぁ、目立ちたくないからテストとかは手抜いてるけど」
「そうだったの?」
「うん。んー・・・丁度半年くらい前かな?シリウスがいつもの場所に来なくなっちゃってね。私シリウスが女の子といるとこ見ちゃったんだ」
シリウスの事とヴォルデモーとの事がどう関係してるのかは分からないけどの切ない顔に僕は一言も言葉を発せ無くなった。
「それでショック受けて精神的に参っちゃってたところをヴォルデモートが狙ってきて呪いかけられちゃったのよ」
じゃあアレは呪い?
「ヴォルデモート曰く卒業までしか生きられないんだって」
僕の頭の中での声が木霊した。
なんだって?
卒 業 マ デ シ カ 生 キ ラ レ ナ イ ?
「死にたくなければ仲間になれって」
「う、そでしょ?」
「嘘だったら良かったんだけどね。誰か嘘だって言ってくれないかな・・・言ってよ・・・・怖いよ、死にたくないの」
「・・・・・・・・・ごめん、ごめんね?僕今まで気付いてあげられなくて・・・これからは僕が支えるから!僕の事頼っていいから!」
「り、ますぅ・・・!」
は泣きじゃくった。
僕はただ謝りながらを抱きしめてやることしか出来なかった。
ごめん、
気付けなくて
ごめん、
助けてあげられなくて
ごめん、
僕じゃ君の心にかかった暗い雲は晴らしてあげられないみたいだ。
せめて、僕の胸にその雲の雨を降らしていいよ。
止むことは無いかもしれないけど、受け止めてあげるから、ね?
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更新速度遅っ!ort
すみません;
拍手に元気をもらって少しスランプから抜け出せました!
まだ完全に抜けきってない上にPCをやる時間があまりないからまだそんなに更新できないけど・・・。
2007.11.05.TUE 朔