saudade −サウダージ− ♯14.5  閑話






先輩!リーマス先輩!」

僕とが図書室で呪いについて調べていると、片手に羊用紙を握り締めたレギュラスが走って来た。

「良いニュース持って来ました!」
「良いニュース?」

僕は聞き返すとレギュラスは元気よくはい!と答えて握っていた羊用紙を僕達に見易いように広げてくれた。
どうやら二枚あったらしい。
二枚ともにダンブルドアとマクゴナガルのサインがしてあり、片方には危険魔法薬取り扱い許可証、もう片方には閲覧禁止棚閲覧許可証と記してあった。

「…これって……」
「ダンブルドアが『これの代わりにわしも君らの組織に入れてくれんかの?』って」
「ダンブルドアが…」

ダンブルドアの名前を聞いてが複雑な顔した。
はダンブルドアがあまり好きじゃないみたいだ。
人狼の僕をホグワーツに入れてくれたり、あんなに良い人なのに…。
何かあったんだろうか。

「リーマス?聞いてる?」
「え?あ、ちょっとぼうっとしてた」
「大丈夫?私のせいで疲れてない?」
「大丈夫だよ」
「ならいいけど…あ、早く行きましょ!レギュラスは先に禁書の本を借りて走って行っちゃった。気が早いんだから。まだまだ子供ね」

まぁ、私達と一年しか変わらないけど、と肩を竦める
本当によく笑うようになったと思う。
前はいつも死にそうな顔をしてたから心配だったんだ。
これもセブルス達のお陰かな。
僕としてはちょっと気に食わないけどね。


「うわぁ…レギュラス、随分と借りて来たのね」
「マダムピンスが好きなだけ持って行けと言ってくれたんで」
「あのマダムが……」
「はい、僕は品行方正で優秀な生徒なんでマダムにも顔がきくんですよ」
「自分で自分を品行方正などと…」
「事実だから良いんですよー」
「ふふっ」

が笑うと空気が華やぐ。
こういう空間にいるとが呪いに侵されてるなんて嘘なんじゃないか、って思わされるけど本来ならグリフィンドールとスリザリンなんて(しかもセブルスとシリウスの弟なんて)こんな事がない限り相いれぬ存在だから直ぐに現実に引き戻される。




嘘だったらよかった。
全部全部嘘だったらよかったのに。


その時僕らは無限の可能性を信じてた。

でも、
いくら信じても
まだまだ子供の僕達には迫りくる現実を止める事は出来なかった。







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極端に短いので閑話という事で。
別段無駄な話という訳じゃないんですけど前の話に入れ損ねたので;


2008.04.17.THU  朔