今僕はスネイプ先輩と禁じられた森に来ている。

saudade −サウダージ− ♯13  好奇心






たまたま先輩が先生に森へ行く許可を貰ってる時に居合わせて自分も行きたいと志願したら難無く許可を貰えた。
流石贔屓の天才、スラグホーン。
普段は迷惑なぐらい欝陶しい人だがこういう時には便利だ。

はっきりと言えば別に僕は魔法薬学にこれと言った興味はないし、薬草学に興味がある訳でもない。
ただ面白そうだったから着いて行った。
でも正直、今先輩に着いて来た事を後悔してる。
森にはこれといった面白そうな物はないし薬草を黙々と探してたって詰まらない。
しかも中々見付からないし。
余りにも詰まらなかったからテキトーな草を採って先輩に見付かったと言ってみた。
嘘だと知った時の先輩の反応が中々に面白くて何度か同じ事を繰り返した。
本当に彼はいじられキャラだなぁ、と常々思う。
その反応を見るのにも飽きた頃、漸く本物を見付け先輩を呼ぶ。

「…今度こそ本当だろうな?」

先輩は怪訝そうな顔をしていたけどちゃんと信じてくれたみたいで薬草を確かめにこちらに来た。
そういう所がスネイプ先輩の善いところだ。
僕に騙されてるかも知れないと思いつつ、僕を信じてくれる。
ひたすらに真っ直ぐに信じられるより全然良い。
僕は先輩の多少歪んだ信頼が嬉しくて自然と笑顔になって得意気に「ほらね?」と言う。

「………よくやった」
「先輩、そういう時は"ありがとう"って言うんですよ。ほら言ってみ…………」


嬉々として腐っても先輩のスネイプに説教をし始めた僕だったが、ふと視界に何かが映った。


「どうした?」
「先輩、あれ………」

それが何か解って…いや、誰か解って目を見開く。
あれは…

先輩………?」

頭が真っ白になった。




隣でスネイプ先輩が彼女の名前を叫んでるのが分かって我を取り戻した。

彼女とは一度しか話した事はないが、嫌いじゃないタイプだ。
いや、嫌いとか好きとかじゃなくて、直ぐに助けるべきなのだろう。
僕はスネイプ先輩にだいぶ遅れをとって動きだした。
我を忘れて彼女の心配をする程の仲ではない事も直ぐに動けなかった事も何故か悔しかった。

「どいてください先輩」
「レギュラス?」

自分に対する怒りを外面に出さないように気を付けながらあたふたする先輩を退かして先輩の容態を診る。
もし此処でスネイプ先輩がうろたえていなければ自分はこんな冷静に動けなかっただろう。
彼女の手をとり、脈をとったりする。
浅くとも息はしているし大丈夫だろう。
生きていた事にホッと息を吐き、先輩に呼び掛けながらも呆けているスネイプ先輩に指示を出す。

「先輩、何してるんですか。誰か呼んで来て下さい」
「あ、あぁ。わかった」

ちょっときつい言い方をしてしまったかも知れない。
だがそんな事に気を使ってる余裕はない。
生きてるにしろ先輩の周りが悲惨な状況になってる事からして何かあったのは確かなのだから。

「………先輩…一体何が……」

彼女の事は全くと言って良い程知らない。
だからこそ知りたいと思った。

数分後、スネイプ先輩は校長を連れて戻って来た。














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レギュラス支店。あ、違ったレギュラス視点。

レギュラスくんはそれが誰だろうと倒れている人を直ぐに助けに行けなかった自分にショックを受けてます。
そりゃ大人でさえ直ぐには動ける人は少ないだろうにまだ子供のレギュラスには無理も当然です。
まぁそういう現実に腹が立っているのでしょうが…;
サウダージでの彼はお家の都合上一応純血主義です。
元々純粋な子だったんですがシリウスの裏切り行為(家を捨てた事)でちょっと捻くれた冷めた子に育ってしまいました。
だから上っ面は冷たくて人とある程度距離をとる子ですが本当は子供みたいな奴なんです。
だから面倒見の良いセブルスに懐いてるって訳ですよ。

うん、なんか色々と複雑ですね。
取り敢えず文才が欲しい。




2008.03.21.FRI  朔