『才色兼備』とは正に私の為にある言葉だと思う。

そんな私がよく聞かれる事がある。


それは、






才色兼備









「ねぇ、ってシリウスと付き合ってんの?」


これだ。


「付き合ってないわよ。」


私は決まって呆れた目をして否定をする。

なんで私とシリウスが付き合わなきゃいけないのよ。
私には心に決めた人がいるのに。


「えー?本当に?」

「私とシリウスじゃ釣り合わないでしょ!」

が殊勝な事を言ってる…」

「何言ってんのよ?私が綺麗過ぎて釣り合わないに決まってるじゃない」

「あんたねぇ……」

「まぁ、確かにシリウスは恰好いいわね。私も認める程の美しさがある。けど、ねぇ私の美しさには負けるじゃない?」


私が自分の美に酔いしれていると友人が冷たい視線を送っているではないか。
美しい物を美しいと言って何が悪い。失礼なやつめ。
因みに私は美しいものとしか馴れ合わない。
勿論この子達もそれなりの子達だ。
よく引き立て役というものがいたりするが、私はそんな狡い手を使うようなたまじゃない。
そういうのを使うような奴はそうする事でしか自分を上手く引き立てられない馬鹿な奴だ。


「貴女も私が認める美人なんだからもっと見栄を…ん?胸をはったら?」

「十分はってるわよ。あんた程じゃないだけ」

「あらそう?」


あれで十分?
私からすると全然足りない。


「あのシリウスが駄目なら誰ならいいのよ」

「そうね…強いて言うなら真紅の吸い込まれるような目をしていて、背が高くて、指が長くて、黒髪で、綺麗な鼻で、っていうか全体的に整い過ぎってぐらい整ってる人


そう、あの人よ。
皆に畏れられる例のあの人!


「明らかに個人を特定してるわね」

「えぇ!私は絶対にあの人と結ばれるのよ!うふふふふ」


あぁ!想像したらよだれが!
はっ!よだれなんて美しくないわ。
ん?あの人がよだれ…?
う、美しい!というかエロい!
そうね…そういう感じなら美しいわね。

なんて考えてたら友人がまだしつこく聞いてきていた。


「目以外はシリウスと一致してると思うんだけど…シリウスの何が嫌な訳?」

「へたれな所」


「学校一のモテ男をへたれというか…」

「それに私の理想じゃないわ」

「でもあんたシリウスの婚約者でしょ?」


そうなのだ。
別にシリウスは嫌いじゃないし、へたれを除けば確かに恰好いい。

だが、しかし!


私はシリウスと結婚する気なんて更々ない。
だって私はあの人と結婚するから!うふふ。
と、いうかそもそもシリウスとの婚約というのはフェイクなのだ。
婚約者がいればある程度婚約を願い出てくる家は減るという作戦。
勿論私は学校で遊びまくっている訳なのだが…。
実際婚約をしたがる輩は減った。
ブラック家に手出し出来るような輩はそうそういない。
シリウスもどうせつまはじき者だしそういうお家柄どうしの結婚はしないだろうと踏んでの事。
我ながら良い作戦だと思う。←自己発案
そういうごたごたとした裏がある事を互いの身内で知らないのはシリウスだけ。


「まぁ、なるようになるでしょ!」

「ポジティブね」

「えぇ」


にーっこりと笑みを浮かべてあげる。
そうすれば目の前にいた友人は顔を真っ赤にしてあんたはなんでそう…とか呟いてた。

私の笑顔を見た人は私の虜確定よ。
老若男女問わず、ね?
















『才色兼備』とは正にあいつの為にある言葉だと思う。

まぁ、全く関係ないんだが俺がよく聞かれる事がある。


それは、



「ねぇ、シリウスってと付き合ってんの?」


これだ。


「付き合ってねぇよ」


俺は決まって呆れた目をして否定をする。
そんでもって事実でない事に軽く泣きたくなる。
きっとあいつは「なんで私とシリウスが付き合わなきゃいけないのよ」とか言うのだろう。←当たってる
要するに俺の完全な片思い。
たまにこいつ実は俺の事好きなんじゃね?とか自惚れる事はある。
が、あいつがそんなたまな訳がない。


「えー?本当に?」

「俺とあいつじゃ釣り合わねぇよ…」

「いつも自信満々で傲慢なシリウスが殊勝な事を言ってる…」

「ジェームズ、お前喧嘩売ってんのか?」

「いや、全然。でも君以上の男なんてそうそういないだろう?」

「まぁ、確かに…」

「君って結構ナルシストだよね」



そうか?
ジェームズや程じゃねぇけど…。
口に出したら怒られそうだから止めておこう。


「いつになったら告白するんだい?」

「は、はぁ?こ、こここ告白なんてしねぇよ!」


ジェームズが唐突に聞いてくるものだから思わず声が裏返った上にどもってしまった。
落ち着け俺!


「えー早く告っちゃいなYO」

「黙れYO」


ノリよく返してやったらなんだか哀れみに満ちた目で見られた。
なんなんだよ…。


「まぁ、君はへたれだからね」

「学校一のモテ男をへたれというか…」

「自分で言っちゃったよこのへたれ犬」

「おい、ジェームズお前やっぱ俺に喧嘩売ってんだろ」


襟首に掴みかかればジェームズはAHAHAHA★と笑いながらお手上げポーズをした。


「そんな事ないって〜。暴力はんたーい!ん?でもそういえば君、の婚約者なんじゃないの?」

「そ、そうだけど…?」

「じゃあ心配しなくても最終的にはシリウスの所に来るって事じゃないか!」

「おい、ジェームズ。俺は家を出るんだぜ?」

「そうだね?」

「婚約も取り消しになるに決まってんだろ」

「あぁ、そっか」

「多分ババァ供は俺がとの結婚を逃す訳はないと踏んでそうしたんだろな」

「シリウス………」


なんだか哀れな目でこちらを見詰めてくるジェームズ。
なんだこいつ気持ち悪い。


「君って奴は……そんなに前からが好きだったのか!」

「はぁ!?」


目頭に手をあてて、もう片方の手を俺の肩に乗せるジェームズ。


「そうか、そうか。シリウスも辛かったね」


あーもー黙れよこいつ!
誰か黙らせてくれ!頼むから!!



「じゃあ自力で頑張るしかないね!ファイト☆…?あ、だ」

「何処だ!?」

「煩いよシリウス。君ストーカーみたいだ

「お前にだけは言われたくねぇ」




「あのシリウスが…………のよ」


な、ななな!俺!?

遠くてあまり聞こえないが、一緒に話しているの友人がシリウスといったのは聞きとれた。
聞き取れるように少し近付く。
…ん?俺ストーカー?


「……強…て………真紅の吸い込まれるような目をしていて、背が高くて、指が長くて、黒髪で、綺麗な鼻で、っていうか全体的に整い過ぎってぐらい整ってる人」


誰だよそいつ!


「明らかに個人を特定してるわね」

「えぇ!私は絶対にあの人と結ばれるのよ!うふふふふ」

「目以外はシリウスと一致してると思うんだけど…シリウスの何が嫌な訳?」

「へたれな所」

「学校一のモテ男をへたれというか…」


あいつら俺らと同じような会話してやがる。


「それに私の理想じゃないわ」

「でもあんたシリウスの婚約者でしょ?」

「まぁ、なるようになるでしょ!」


なるようになるってそんなに俺と結婚したくないのかよ…。


「ポジティブね」

「えぇ」


がにーっこりと笑みを浮かべる。
それを見た俺は顔を真っ赤にする。
リリー命のジェームズまで真っ赤になって「僕はリリー一筋なんだ…」と自分に言い聞かせてた。




なんて殺傷能力の高い笑顔なんだ。
















彼女の笑顔にみんないちころさ。


拍手掲載期間 08.04.03~08.07.17
掲載日 08.07.17