「・・・なんでこんなに人数増えてんだ?」
『幽霊なんていねぇ』とか言ってるわりに肝試ししたがらない奴っているよね。
集合場所の校門前に来ての銀八の第一声はコレだった。
当初の予定では三人だったはずなのだが何故か7人に増えている。
「はぁ・・・」
新八がため息とともに銀八が来るまでに何が起こったのか話し始めた。
『幽霊なんていねぇ』とか言ってるわりに肝試ししたがらない奴っているよね。
3時間前・・・。
「なんですって!?新ちゃん一人で夜の学校に行かせるわけにはいきません!!私も行くわよ!!」
新八の姉、妙が突然立ち上がって勢いよく言った。新八が妙に今日の事を話したからだ。
「あ、姉上、だから先生とかも一緒だって言っ「私も行きましょう!!」
「!!?」
突然居間に男が入ってきた。妙のストーカーをしているゴリラ・・・じゃなかった、クラスメイトの近藤さんだ。ちなみに風紀委員長である。
「こ、近藤さん!?」
「か弱いお妙さんを一人で夜の学校なんかに行かせる訳にはいきませんよ!」
ガンッ
いや、だから一人じゃないって、と新八が言おうとした瞬間鈍い音がした。
妙が近くにあったガラス製のコップを問答無用で近藤に投げつけたのだ。
「あらゴリさん。ここにはお妙なんて人いないわ。ここにいるのは妙。お妙さんは週刊少年ジャ●プの人間よ。似てるようで違うの、一緒にしないで。っていうか私の目の前から消えなさい」
「姉上・・・じゃなかった、姉さん何言ってんの!!?物語が破たんするようなこと言っちゃダメだから!!!!」
「新ちゃん、小さい事をいちいち気にしないの。侍らしくないわよ!」
「おいィィィィィィィィ!!だから物語が破たんするようなことは言うなって言ってんだろうがァァァァァァ!!!!僕達は今普通の高校生なんですよ!!?侍がこの時代にいるわけないでしょうが!!!!」
「しょうがないでしょ、ジャ●プではそういう設定なんだから。だからあなたはいつまで経っても新八なのよ。少しは新一になれるように努力しなさい!」
「新八の八はランクだったんですか!!?ってか努力したからって名前が変わる訳じゃないから!!!!」
「妙さん!私は何があっても行きますよ!絶対妙さんを守ってみせます!!!」
「あんたまだいたんかいィィィィィ!!!!」
妙の投げつけたコップによって床に突っ伏していた近藤が突然立ち上がって意気込んで見せた。
「え?何?何があっても逝ってくれる?よかったわ〜これで安心して暮らせるわよ、新ちゃん」
「お、お妙さん!今の『いく』は『逝く』の方じゃなくて『行く』の方ですよ!!ちょ、お妙さん!!?ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
新八は『やっぱり言うんじゃなかった・・・』と思ったがもう後の祭りだ。この人達が人の言うことを聞くわけがない。
っていうか近藤さんにいたっては人の話を聞ける状態じゃない。
* * *
「・・・ってな感じでこうなったんですよ。」
「いやいやいや、今の話をどうするとこのメンバーが集まるの?」
そう、ここにいるメンバーは最初にやろうと言い出した銀八、新八、神楽の三人と先ほど話しに出てきた妙、それから瞳孔が開き気味でマヨラーの土方とサディスティック星(?)の皇子、と言われている超ドSの沖田だ。
「なんで大串君とドS野郎がここにいる訳?ゴリラはどうした?」
「俺は大串君じゃねぇ、土方だ。近藤さんに頼まれたから来たんだよ。誰にやられたのか知らねぇが頭から血ィ流しながら家に来て学校に俺の代わりに行け、って言ってきたんだよ」
やった本人の妙は満足気な笑みを浮かべている。そんな妙を見て新八は女って怖っ!!、と身震いをした。
「俺は暗闇に紛れて土方さんを殺すチャンスだと思って来やした」
真顔でサラッと危ないことを口にするサディスティック星の皇子、こと沖田君。
こいつは冗談で言ってるのではなく本気だ。本気と書いてマジと読むほどに真面目に言っている。
「オイィィィ!!何言ってんのォォォォォォォ!!!?」
「こんなチャンス滅多にないでさァ」
「滅多にあったら命がいくつあってもたりんわァァァァァァ!!!!」
「チッ・・・」
「で、ホントにこのメンバーで行くのか?行くならさっさと行こうぜ」
「待てぇ!!」
銀八が面倒臭くなり中に入ることを切り出した途端、長髪の生徒の桂(通称ヅラ)と謎の生命体のエリザベスが走って校門のところに来て銀八達にストップをかけた。
「俺とエリザベスも行くぞ!置いてけぼりにするつもりか貴様らは!!」
「お前は寂しがり屋な小学生か!!?」
「先生、もう面倒ですしこのメンバーで行っちゃいましょうよ」
「そうだメガネ君の言うとおりだぞ。今更一人や二人(一匹?)増えたって何も変わらんだろう?」
「誰がメガネ君だァァァァァァァ!!!!!」
「ったく面倒くせぇな。しょうがない今回はダメガネ君に免じて付いてくるのを許可してやろう」
「ダメガネ!?メガネを侮辱してんのか!!?」
「さぁ行くぞ〜(無視)」
「あれ?そう言えば旧校舎って鍵がないと入れないんじゃ・・・」
新八の発言に一瞬みんなが静まった。
(アレ?もしかして誰もそのこと考えてなかったんじゃ・・・。)
「・・・じゃ、今日は解散なー。みんな気をつけて帰れよー」
ガシッ
さっさと帰ろうとする銀八を神楽が服を引っ張って止めた。
「フッフッフッ・・・皆甘いあるな。銀ちゃん、大丈夫ネ。こんなこともあろうかと鍵を職員室から拝借しといたヨ。抜かりはないネ」
「おまっ、拝借って犯ざ「細かい事は気にしちゃいけないネ。お前は新八アルか?眼鏡アルか?」
「お前なぁせめて新二にしろよ新八は言い過ぎだろ」
「何が言い過ぎ!?やっぱり新八の八はランクだったの!!?ってか何で二?一で良いじゃん」
「ほら、見ろよ。アレが新八だ・・・いや、眼鏡だ」
銀八がこそこそ(いや、まぁ聞こえてるんだけどね)神楽に言っている。
「今言い直したことに意味あんのか!!?」
「銀ちゃーん開いたヨ〜〜」
「・・・なんで入んないんっすか?」
銀八先生と土方君は入り口が開いたというのに何故かいっこうに入ってこない。
「ばっお前俺はアレだ。ほらアレ」
「お、俺もアレだ。アレ」
「「「「「「「・・・・・・」」」」」」」
「ぎゃァァァァァァ!!!!でたァァァァ!!!!!!(棒読み)」
ダダダダダッ
「さ、行きましょうか」
全員が呆れた目で一斉に隠れた二人を見て、回れ右をした。
「ちょっ、ま、待て!!別に怖いとかじゃないぞ!!」
「俺も怖くねぇからな!マヨネーズ王国への入り口を見つけただけだぞ!!」
「そーですか」
「なんだその目はァァァ!!?汚れなきあの頃のお前達の純粋なあの瞳は何処へ行ってしまったんだァァァァァ!!!!」
「もう分かったからさっさと入ってきて下さいよ」
「「・・・・・」」
二人は顔を見合わせてから慎重に一歩踏み出した。