Hot

「熱くて熱くてしょうがないんです。でもやっぱり・・・」






もうすぐ夏休み。
と、いう事は日本で言う梅雨ってやつで、紫陽花も綺麗に咲き誇りそうな天候な
訳ですよ。
物凄くじめじめしてて気持ち悪い。
それなのにこいつらは…
「暑い…暑い…暑い…暑苦しいんじゃぁぁぁぁぁああ!!」
 

「ん?何?v」
「五月蝿いなぁってば」
「この暑い中目の前でいちゃつくな!暑苦しい!!」
いちゃいちゃいちゃいちゃいちゃ(エンドレス)しやがって!
付き合い始めたばかりの二人は暑苦しさも、人目も何も気にせずに二人の世界に
GOしてる。(あ、ルー語?)
「んもー僕とリリーの二人だけの時間vを邪魔しないでよね!」
畜生…彼氏いない歴云年の私の前で……
「二人とも嫌いだぁぁぁぁああ!!(泣」
 

「で?ふて腐れて俺の所に来た、と」
目の前でこんな暑い日だと言うのにいちゃつくジェームズとリリーを目の当たり
にし、私はあまりのいたたまれなさに逃げ出して安息の地を求めて"たまたま"近
くにいたシリウスの下にやってきた。
ここで誤解しないで欲しいのはあくまでたまたま である事だ。
間違っても私はシリウスに会いたくなってシリウスを探してわざわざ此処に来た
わけではない!
だ、断じて違うぞ!!
「うん…あー…やっぱリーマスんとこ行くわ……」
「は?なんでだよ!?」
 だって、ねぇ?お姉様方の視線が痛いんだもの…。
一応予測はしてたけどシリウスの周りには綺麗なお姉様方から人間とは思えない
程不細工な…ゴホンゴホン
他寮の後輩や同学年までいる。
そりゃもう蛙を睨む蛇が如き視線を携えて。
「…………じゃっ!!」
私は手を勢い良く挙げてさっさと去ろうと走った。
…が、一行に進まない。
後ろを振り返ればシリウスにしっかりと掴まれた自分の腕。
「な、何さ?」
突然のシリウスの行動に思わずときめ………はっ!自分は何を思ってるんだ!?
驚いて吃ってしまった。
「この状況で俺を置いて行く気か?」
背の高いシリウスに見下ろされると中々に威圧感がある。
こ、怖い…。
私は冷や汗を垂らしながらお姉様方の方を見遣る。
…………………………。
えーと…般若?
美人が台なしですよ?
「なぁ、。お前は置いてかないよな?」
「………………ごめん。置いてくわ。じゃっ!」
「なっ!」
と、シリウスの気が緩んだ瞬間に猛ダッシュ☆
うふふv
どんまいシリウス★
私は自分の命が惜しいのよ!
めんご、めんご☆(←死語)
さぁ、私!風邪の…ん?あ、風のように颯爽と駆け抜けるのよ!
だが私は失念していた。
そう、
奴の足の長さを。
 

「で?、何か弁解は?」
「えっと…あの、すんません。命欲しさに逃げ出しました……」
今の私はシリウスにローブのフードを掴まれてぶら下がってる状態。
足がぶらぶら浮いてる…首しまるよシリウス君……。
「俺はどうなろうがどうでもいい、と?」
「はい(きっぱり)」
「あ゛ぁ゛?」
「いや、すんません。嘘です」
んだよ畜生!
その顔で睨むなんて卑怯だ。
シリウスは美人な分迫力がありすぎる。
まぁそんなところも格好いいと思っちゃう訳なんだけども…。
なんて事は全く思ってないから。うん、全くない。
「お前は…………」
「私は?」
「俺が女に囲まれてても良いのかよ……」
「へ?」
「………………」
「え、えーと……正直あんまりよろしくないです…。でも私がとやかく言える立
場じゃないし……彼女でもないんだから」
「じゃー彼女になれよ」
「………は?頭大丈夫?」
私を彼女にしようなんてついに頭可笑しくなっちゃったのかな?
「シリウスはより取り見取りじゃん」
「…………はぁ…こいつは………」
かなり深いため息をはくシリウス。
「俺はお前が好きなの」
「…………………………………………………………………………はい?」
「で?」
「え?」
「お前はどうなんだよ」
「す、好き…なのかな?」
そう言った瞬間、視界が真っ暗になった。
間近で嗅いだ事はないが、いつも匂ってくる男物の香水の香り。
あ、ちょっと変態みたいだ。
ん?待てよ?私はもしやシリウスに抱きしめられているのか?
待て待て待て。
シリウスはさっきなんて言った?
そして私はなんて返した?
「なのかなってなんだよ…ははっ」
緊張していたのか、微かにシリウスの声が震えている。

「…は、はい……?あのー…そろそろ離してほしいんだけど……」
「好きだ。離してなんかやらない」
「……………………」
ガンッ
中々離してくれないシリウスに痺れを切らして私は男の急所を思いっきり蹴り上
げた。
「ば…お前……」
私を離して屈み込むシリウス。
「暑苦しいってば!馬鹿!!」
「…………」
中々立ち上がらないシリウスに心配になって屈んで覗き込もうとしたらいきなり
腕を引っ張られてバランスを崩した。
「ちょっ…!」
そして目の前にはシリウスの顔が…。
「な、なななななっ!」
「抱き着くのがダメならこれならいいだろ?」
キザ男!キザ男だこいつ!!
「………まぁ」
言いながら顔を近付けてキスをした。
仕返しだばーか。
「なっ…」
「これぐらいなら暑苦しくないしねー」
「お前って奴は…」
「あははっ」
 

不意打ちは卑怯だろ…。
もっと暑い事してやろうかな……。
とかシリウスが考えてた、という事を私が知るのはまた別の話だったりそうじゃ
なかったり。




 

あとがきんちょ


シリウスくんはヒロインが自分の事を好きな事はだいぶ前から気付いてたみたいですね。
ヒロインは否定し続けてましたが…。
なんかいろいろ突っ込みどころ満載ですね。
はい、すみません;
芽緒さんのみお持ち帰り可能です。