BLACK LIST

      STAGE.�U この世の理の中で  �C

「此処がカンタールの屋敷か」

「でかいのぅ」

今三人はターゲットの屋敷の近くの木に乗って中を観察している。

「じゃ、俺一回中見に行ってくるからお前ら此処で待ってろよ」

そう言ってレイは猫に変身しながら軽々と木から飛び降りた。

「…何かが腑に落ちん……」

レイが去った後少しの間を空けて静まり返った中、サキが突然呟いた。

「腑に落ちない？何が？」

「分からん」

「分からん、って…」

相変わらずの無表情でキッパリと言うサキにランは呆れ気味だ。

「只の勘じゃき、わしにも分からん」

浅くではあるがサキにしては珍しく眉間に皺を寄せて訝しむように屋敷をただただ見つめた。

「いったい何処にあるんだ？」

レイは広い屋敷の中を猫の姿で歩き回っていた。

この屋敷は広さの割に置いてある物は少なく、結構質素な雰囲気がある。

「？」

一つの部屋から明かりが漏れていてそこから話し声が聞こえる。

――あれがターゲットの持ち主か…。

隙間から覗いてみるとそこにはターゲットの指輪を嵌めたカンタールらしき人と執事がいた。

「怪盗ブラック…私の大事な指輪を盗みに来るとは……。これは先祖代々伝わる大切な指輪だというのに」

「大丈夫ですよ、カンタール様。警備は万全ですし」

「あぁ…」

――先祖代々伝わる指輪？あの双子から奪ったんじゃなかったのか？

取り敢えず全体を一通り見たレイは一旦二人の下へ戻る事にした。

「おー、帰ってきよった。どうじゃった？」

サキ達の下へレイが戻って来た。

「……」

「レイ？」

「……」

「レイ！」

「ぅおぉっ！！スマン」

「どうしたんじゃ？」

「いや…屋敷に戻ったら話す。取り敢えず屋敷に戻ろう」

――さっきカンタールが話していた事が本当なのかは分からないが奴が嘘をついているようには見えなかった。

双子の方が嘘をついているのか？
いや、でも……。

ガチャッ

「な、何？臭っ！！」

「なんちゅー臭いじゃ。鼻ば曲がってしまうぜよ」

「ぅ……」

バタンッ

「レイ！？」

「す、すみませんわ。先程香水が置いてある棚を倒してしまって…」

「香水が全て割れてしまいましたの」

「い、いえ」

「レイは鼻が良いからの〜」

―そんな簡単に棚が倒れるかの…。

「取り敢えずそこのベットに寝かせましょう」

ぐったりと倒れたままのレイを豪華なキングサイズのベットに寝かせた。

「今回の仕事はレイ抜きでじゃな。まだ屋敷の中の事を聞いてないっちゅーのに…」

「大丈夫なの？」

「さぁのぅ…多分大丈夫じゃろ」

ちらりとレイが眠るベットを見て答えた。

「多分、って…」

「すみませんわ」

「倍じゃ」

謝罪の言葉を述べながら俯いた双子にサキが突然言った。

「「え？」」

「報酬は倍じゃ」

「分かりましたわ」

２００７．０３．１１．ＳＵＮ　Written by Saku .